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  • 2020.04.28
  • 相続に強い司法書士が解説!代襲相続とは?

代襲相続

 

故人のお金をどうするか、相続人は誰になるのか…心配事が尽きません。

相続にも色々な形があることをご存知でしょうか?

 

今回は、代襲相続(だいしゅうそうぞく)についてお伝えしていきます。

 

1.代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは?

 

相続人になるはずの人がすでに亡くなっている場合に起こる代襲相続

 

代襲相続(だいしゅうそうぞく)という言葉を初めて聞いた

という方も多いのではないでしょうか?

 

代襲相続とは、本来相続人となる方がすでに亡くなられていた場合に

相続人の子供が代わりに相続する制度の事を指します。

 

簡単に言ってしまうと、お祖父様の遺産を息子さんが相続出来ない為、

お孫さんが代わりに相続するケースという事です。

 

 

代襲相続の基本的なルール

 

誰もが代襲相続の対象になるわけではありません。

いくつかの基本ルールに則って制度が作られています。

 

・代襲者(代わりに相続する人)が被代襲者(本来の相続人)の直系であること。

・代襲者が被相続人の直系であること

・代襲者が相続時に生存していること。

 

上記に当てはまるケースが、代襲相続の対象となります。

 


なお、推定相続人が相続廃除された場合

その推定相続人の子が、代襲することになります。

 

・・・少し難しいですね。

 

事例で考えてみます。

 

Aが、子のBから虐待されていたため、

Aは裁判所に申立てをして、Bを相続人から廃除しました。

 

このとき、Bに子のCがいたとします(Aの孫ですね)。

この時、CがAの代襲相続人となるという意味です。

 

 

2.代襲相続ができる人、できない人

 

まずは法律上の相続人の範囲を理解する

 

民法で定められている相続人を、「法定相続人」と呼びます。

法定相続人の範囲を、ざっとおさらいしてみましょう。

 

まず、亡くなった人の配偶者は必ず相続人になります

 

この場合の配偶者とは、法律上正式に結婚している人とし、

内縁の妻や夫、元配偶者は含まれません。

 

配偶者以外は、優先度が高い順に

亡くなった人の子供、父母、兄弟姉妹までが相続人の範囲です。

亡くなった人の子供は元配偶者との子、認知した非嫡出子、養子でも対象になります。

 

相続人には優先順位が決まっており、

上の順位の人がいた場合は、その人が相続人となります。

 

もし、被相続人に配偶者と子がいた場合は、配偶者とその子が共に相続人になります。

 

 

上記、まとめてみますと…

 

★配偶者は、常に相続人です。

 

第1順位 子(+配偶者)

第2順位 直系尊属(父母)(+配偶者)

第3順位 兄弟姉妹(+配偶者)

 

…ということになります。

 

 

代襲相続の範囲はどこまで?

 

第1順位の被相続人の子と第3順位の兄弟姉妹の子が対象です。

つまり孫と甥や姪までが対象範囲になってきます。

 

第1順位の代襲相続であれば、

孫、ひ孫、玄孫と子孫がいる限り再代襲が制度上は可能です。

 

第3順位の兄弟姉妹が相続するはずだった場合は、

その兄弟姉妹の子である甥や姪が相続人の権利を得ます。

 

しかし、第1順位のように、再代襲出来るわけではなく、

兄弟姉妹の場合は一代限りとなり甥や姪がすでに亡くなっていた場合、

その子供に相続権はありません。

 

 

養子の子は代襲相続人になれる?

 

法律上は、直系の親族と認められれば相続人としての権利を得ることが出来ます。

 

養子の子の場合は、その子がいつ産まれたかによって

代襲相続が出来るのか出来ないのかが変わってきます。

 

養子の子の場合は、養子縁組の後に産まれた子であれば代襲相続は可能です。

 

しかし、養子縁組の前に産まれた子(いわゆる連れ子)は、

直系の親族としては認められない為、代襲相続はできません。

 

 

3.代襲相続の注意点

 

相続人が相続放棄した場合は代襲相続できない

 

代襲相続は、あくまで遺産の相続が放棄されていない場合に効力を発揮するものです。

 

相続は、資産だけではなく負債も相続人が承継することになります。

 

資産より明らかに負債が多く、損害を被る可能性がある場合や、

遺産相続問題に巻き込まれることを嫌い、相続放棄を選択する人もいます。

 

相続人が相続放棄をしている場合は、

相続する権利を失っていることから、代襲相続も生じません。

 

 

相続人の人数が増える可能性がある

 

事例で説明してみましょう。

 

例えば、祖父には自分の父親含め子が5人いるとします。

祖父の子(自分の叔父叔母)のうち、

自分の父親と二人の叔父、叔母が既に他界しているとしましょう。

父親にも叔父、叔母にも子供がそれぞれ3人いるとします。

 

この事例では通常の相続人が2人、代襲相続人が9人で、

合計11人の法定相続人が存在することになります。

 

<図式> 

        叔父(死亡)― 子3名

        叔母(死亡)― 子3名

祖父(死亡)  父親(死亡)― 子3名(私を含む)

        叔父(存命)

        叔母(存命)

 

こんなケースで、

土地建物の名義を祖父から現在の相続人の誰かへ変更したいとなった場合、

どうすべきでしょうか。

 

この場合、遺産分割協議を行い、だれが相続するのかを決めていく必要があります。

 

遺産分割協議を行うには、11名全員から同意を得て

署名・押印をもらう必要が出てきます。

 

全員と連絡が取れますか?

11名全員が同意するでしょうか?

 

このように、代襲相続という制度は、

結果、相続人を膨大に増やしてしまい、

相続手続きを困難にしてしまうことがあります。

 

最近、よくニュースに出てくる「所有者不明土地」などの問題も、

代襲相続制度と関連しているのです。

 

 

必要な戸籍謄本が増える

 

代襲相続をした場合、必要な戸籍謄本が増えるということにも注意が必要です。

 

上記事例をみても、何となく想像ができますね、

関係者が増えれば、調査すべき戸籍の量が膨大になります。

 

まず、相続人が死亡している事実と代襲相続人が

その人の子供であることを確認しなくてはいけません。

 

さらに、被相続人の戸籍に加えて、本来の相続人の戸籍、

代襲相続人全員の戸籍が必要になってきます。

 

このように考えていくと、大量の戸籍が必要となることがわかるかと思います。

 

 

まとめ

 

代襲相続は、本来相続するべき人が、

死亡その他の事情により相続出来なかった際に、

その子が代わりに遺産を相続する制度です。

 

遺産が確実に承継されていくという点をみると、

安定的に遺産相続が行われていきますので、良い制度といえます。

 

しかしながら、この代襲相続の良い面は、

反面、相続人を膨大に増やしてしまうという負の側面もあるのです。

 

重要なことは、代襲相続が複数回生じる前に、

遺産相続に関することをあらかじめ決めておくことです。

 

典型的な解決手段は、遺言書を作成することです。

 

遺言書がない場合は、遺産分割協議を放置せず、

早めに遺産相続の合意を取り付けておくことが大切です。