- 2020.04.27
遺産相続・遺産分割協議を円満かつスムーズに進めるコツ
悠長にはできません!遺産相続には期限があります。
ご家族が亡くなったあとは様々な手続きが待っており、
なんだか落ち着かない日々を過ごすことも多いと思います。
そんな時に後回しにしがちなのが「遺産相続」。
しかし遺産相続にも期限があるものは多く、
早いと3か月以内に手続きが必要なものも。
期限を知ってきちんと手続きを行わなければ、
もらえるはずのお金がもらえない、
税金を多く払う、最悪の場合は多額の借金を相続する・・・
ということにもなるので注意が必要です。
1.遺産相続の7つの期限
遺産相続には7つの期限が存在します。
その中でも最も注意したい「借金」は、
3か月以内に相続放棄の手続きを行わなければいけません。
その後、4か月以内には故人の所得税に関する
「準確定申告」の手続きが求められます。
少し間をおいて10か月以内には相続税の申告、
1年以内には遺留分の減殺請求、
2年以内に埋葬料や葬祭費の請求、
3年以内に死亡保険などを生命保険会社に請求しなければなりません。
7つ目の期限は5年10か月以内で、相続税の還付請求が行えます。
この他にも期限を設けていない遺産相続手続きなどが存在します。
遺産相続というのは一言では片付かない大変な重労働だと言うことがわかりますね。
相続税の申告は10ヶ月以内!早め早めに行動を
手続きの期限が3番目に短い相続税の申告。
これは遺産の総額が3600万円以上だった場合に必要な手続きです。
これはあくまでも法定相続人1人あたりが貰える3600万円以上だった場合であり、
「遺産総額は4000万円だけど法定相続人は2人以上」という時などは
申告の必要はありません。
申告が必要だとわかったら、必要書類を揃え、
故人の住所があるところの税務署に届け出をしましょう。
2.基本は全員参加!集まれない場合の対処法は?
遺産相続に関しては、家族の中で遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議は基本的に全ての相続人が参加し、全員が合意する必要がありますが、
様々な事情によって参加できないという人もいるでしょう。
そんな時の対処法についてまとめてみました。
遠方の方がいる場合の対処法
相続人が遠方にいて集まれないという場合、
メールや電話で話を進め合意してもらうことも可能です。
内容に合意し、遺産分割協議書に印鑑さえもらえれば良いのです。
しかし捏造や、はなから特定の人物を話し合いに呼ばなかった場合、
その遺産分割協議は無効となります。
また、遠方の方に合意をもらったことを確かにするためには、
電話よりも文面が残るメールなどの方が良いかもしれません。
相続人が認知症の場合
高齢化が進み、相続人も高齢である場合が増えています。
相続人が認知症の場合には、意思能力の欠如と判断され遺産分割協議は行えません。
それでは、協議が行えないと周囲も困ってしまいますよね。
そんな時には成年後見制度を利用しましょう。
成年後見人、つまり代理人を立てることによって、
遺産分割協議を成立させることができます。
相続人が疎遠で連絡が取れない場合
相続人の中に疎遠な人がいて連絡が取れない場合にも、
その人抜きで遺産分割協議を進めることはできません。
まずは住所を調べ、コンタクトを取ることが必要です。
住所は比較的簡単にわかりますので、まずは手紙を出してみてください。
同時に遺産がどういう状況なのかと言う資料も添付するとわかりやすいです。
借金がある場合には早急に相続放棄をしてもらう必要があるので、
早めに住所を調べ、その旨を伝えるようにしましょう。
相続人が未成年者の場合
判断能力が不足しているなどの理由から、
法律上未成年は遺産分割協議に参加できないことになっています。
そこで登場するのが代理人。
一般的には未成年の相続人の代理人は親権者です。
ただし故人との関係によっては親権者が代理人になれないケースもあります。
相続人が相続放棄をした場合は?
相続人の間で「相続をしない」と約束することと、
相続放棄とは意味が異なります。
前者の場合、特に手続きや届け出は必要なく、
遺産分割協議で決定した内容の書面に署名・捺印をするだけです。
しかし、相続放棄をする場合には3か月以内に
家庭裁判所に申し立てを行わなければなりません。
これが認められれば「相続人ではなかった」ということになります。
3.遺産分割協議を円満に進めるには
遺産分割協議に参加する相続人には様々な人がいます。
相続する金額が多ければ、協議の場が泥沼化するなどということも…
遺産分割協議を円滑に、円満に進めるためのコツをご紹介します。
まとめ役になるなら了承を得てから
どんな場合でも話し合いには「まとめ役」が必要です。
まとめ役がしっかりとしていれば、スムーズに話し合いを進行し、
結論を出すことができます。
しかし、まとめ役に適した人格であるか、年齢・立場であるかどうかは
集まる人間が決めるものでもあり、
「自分がやります!」と暴走しては話し合いもうまく進みません。
もしあなたがまとめ役を買って出るのであれば、
遺産分割協議に参加する方々の了承を得てから行いましょう。
すべての遺産をしっかり公開すること
遺産分割協議のまとめ役になったら、
まずはすべての遺産をしっかり公開することを意識して話を進めましょう。
公開していない遺産があると相続人は混乱、困惑します。
まとめ役とはいえ同じ相続人でもあるあなたが
すべての遺産を公開しなかったら…
「自分に有利に話を進めようとしている」と思う方も表われ、
思わぬトラブルに発展する可能性もあることを忘れずに。
いきなり理屈から説明しない
遺産分割協議の際には、理屈から説明するのは厳禁です。
いくら物事の筋道立った話とはいえ、
淡々と相続の話を進めていくと他の相続人から反感を買う可能性があります。
前述の通り、遺産分割協議は円滑・円満に話を進め、
相続人全員の同意を得ることが目的ですから、
相続人の方たちの気持ちが1つにまとまるような説明や
「協力してほしい」という姿勢を見せることから始める必要があります。
話し合いの過程はしっかり記録しておく
最終的に遺産分割協議書に全員の署名、捺印が得られれば
遺産分割協議は終了となります。
念のため、その過程は何かしらの手段でしっかり記録しておくようにしましょう。
言った・言わない・聞いていないなどのトラブルを避けるためにも、
ボイスレコーダーでの録音、議事録にまとめるなど
きちんと形に残るようにしておいてください。
生前からコミュニケーションを取っておくこと
とはいえ、親族の誰かが亡くなったからといきなり相続人が集められ、
その中の1人がいきなり進行役になるのは、
本人はもちろん、他の相続人にとっても不安でしょう。
トラブルや疑心暗鬼を回避するためには、
生前からしっかりコミュニケーションを取っておくことも重要です。
それぞれの立場をあらかじめ理解していれば、
お互いへの不安や不満も少なく、トラブルに発展しづらいものです。
4.トラブルになりそう・なってしまったら?
様々な配慮をした上で、それでも遺産分割協議において
相続人同士のトラブルが起こりそうになったら、起こってしまったら…
どのように対処、解決していけば良いのでしょうか?
1人で抱え込まず専門家に相談
「まとめ役」になった以上、自分が何とかしなければと1人で抱え込んではいませんか?
遺産分割協議の進行を、一人だけで行うのは、なかなか難しいものです。
そんな時は迷わず専門家に相談しましょう。
司法書士ならば、相続に関する様々な調査、難しい手続きなどに対応可能です。
期限内にうまく進められるか不安な場合はぜひ相談してください。
「相続に関する手続きばかりやっていられない!」という忙しい方にも最適です。
身内で解決できる、手続きが可能であればそれも良いですが、
やはり「餅は餅屋」、司法書士に任せれば安心できる部分も多いかと思います。
※ただし、相続人間で大きな対立があり、法的紛争状態となっている場合は、
弁護士へご相談いただく必要があります。
相続発生前から計画的に進めておきましょう。
財産や相続人などについては、相続発生前から理解し、
計画的に進めるようにしましょう。
生きている間や亡くなってすぐに相続のことを
アレコレするのには抵抗があるという方も多いです。
しかし、「期限内に」「円滑・円満に」相続人の同意を得て手続きを踏むには、
必要なことだと言えます。
まとめ
遺産相続に設けられた7つの期限や、
遺産分割協議の進め方などについてご紹介しました。
期限内の手続きを怠ると、遺された人たちは多額の借金を背負ったり、
余分な税金を払ったりと「不要な出費」を強いられる可能性があります。
そのような事態を避けるためにも、円満な遺産分割協議を行っていきましょう。
相続人同士でどう話し合いを進めたらいいかわからない場合、
忙しくて手続きを行う時間がないという場合には、
ぜひ専門家である司法書士・弁護士にご依頼ください。
(東京司法書士会所属|登録番号:7237 認定番号:501362)
司法書士。相続案件、会社法務、債務整理、簡裁訴訟代理などを中心とした業務を担当。