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  • 2020.12.23
  • 不動産の相続に必要な手続きと費用をわかりやすく

不動産相続

相続は簡単ではありません。ましてや大切な人を亡くした後では

これからどうしていけば良いのか思い悩むこともあるでしょう。

相続は一生に何度も経験するものではありませんから

よくわからずに不安になるのは当たり前のことです。

 

とはいえ、悠長にしている暇もありません。

相続には期限がありますから、不慣れでも

ある程度はスピーディーに手続きしていく必要があります。

 

今回の記事ではそんな不安を解消できるよう、

不動産相続の大まかな流れと費用をお伝えしていきます。

 

この記事で不動産相続のステップを把握しておくことで、

相続発生時にも落ち着いて行動できるようになります。

現時点で相続の問題に直面していたとしても

この記事を参考に行動できるはずです。

 

ただし、この記事の順番はあくまで一般例です。

「あなたの相続」に適した手順とは限りませんので

一度は相続のプロに相談することをオススメします。

 

不動産相続に関する手続きは大きく分けて4ステップ

 

相続発生から相続税申告・納付までの大まかな流れは以下となっています。

 

STEP1:相続人と相続財産の確認

 

・亡くなった人(被相続人)が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本を取得し、相続人を確定する。

・被相続人の遺言書を確認する

・不動産を含め、遺産の全体像を把握する

・借金などマイナスの資産がある場合は限定承認や相続放棄を検討する。(自己のために相続開始を知った時から3ヶ月以内)

・被相続人の準確定申告

 

STEP2:遺産の分け方を決定

 

・遺言がある場合は遺言書に基づき遺産を分割する。

・遺言書がない場合や遺言書に記載のない財産がある場合は遺産分割協議を行う。

・遺産の分け方に合意したら遺産分割協議書を作成、相続人全員が署名・押印をする。

 

STEP3:不動産の名義変更

 

・相続登記のための書類を取得する

・相続登記を法務局で申請する

 

STEP4:相続税の申告・納付

 

・相続税の課税価格を確認

・相続税申告書の作成

・相続税の申告・納付(相続発生を知ってから10ヶ月以内)

 

項目は多いですが大きく分けて4つの段階を踏みます。

 

これらに加えて葬儀や生命保険の請求手続き、公共料金等の解約・名義変更なども

並行して済ませる必要があります。

相続人全員が集まって話し合うタイミングやトラブルなども想定すると

10ヶ月という期限は決して長くありません。

 

不動産を複数人で分割相続する4つの方法

 

相続人が複数いる場合、遺産分割が原則となります。

相続資産が現金であればスムーズですが、不動産だとそう簡単にはいきません。

ピザのように都合よく等分できるわけではないからです。

 

そこで不動産を複数人で分割相続するには4つの方法を検討していきます。

 

1.現物分割

 

現物分割は文字通り遺産をその状態のまま相続することです。

たとえば不動産が1つ、現金が1000万円、骨董品や貴金属類がある場合、

配偶者に不動産を、長男に1000万円を、長女に骨董品や貴金属類を相続する、

という方法が現物分割です。

 

戸建てやマンションの相続の場合、土地の上に建物が建っているため、

土地だけの相続よりも複雑になります。

 

2.代償分割

 

代償分割は一部の相続人だけが不動産を相続し、

残りの相続人に相続分の金銭を渡す方法です。

 

2000万円の不動産を兄弟2人で代償分割する場合、

兄が不動産を相続し、弟は兄から1000万円を代償金として受け取ります。

ただし、この方法は現金で渡せなければできません。

 

3.換価分割

 

換価分割は、相続した不動産を売却し、得られた代金を分割する方法です。

その不動産を相続人の誰かが利用する予定がない場合は有効な手段と言えます。

住んでいた家を手放すことになること、ケースによっては、

譲渡所得税が課されることが懸念事項です。税理士など、税務の専門家の確認が必要です。

 

4.共有相続

 

1つの不動産を分けず、複数人で共有する方法です。

その場で丸く収まる方法で、相続人同士で揉めないならこの方法でも構いません。

しかし、将来、不動産を売却する場合や賃貸に出す場合は、

共有名義人全員の同意が必要となるためトラブルになりやすいです。

 

不動産相続のトラブルを防ぐには?

 

土地や建物の相続はトラブルになりやすいです。

できれば被相続人が元気なうちに納得のいく話し合いをした上で、

遺言書を残しておくことが理想です。

 

場合によっては法定相続分にこだわらず、

相続人の誰かが譲歩することで最適な相続が実現する可能性もあります。

 

また、民法改正により「配偶者居住権」という新たな権利が創設されました。

2020年4月1日から施行されたもので、配偶者が自宅での居住を継続しながら、

その他の財産も取得できるようになりました。

 

配偶者居住権についてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので

ぜひ参考にしてください。

→配偶者居住権とは?

 

トラブルに発展してしまった後では収拾がつかず、

弁護士の介入が必要になるケースも少なくありません。

 

トラブルが起きそうな場合だけでなく、

忙しく時間が取りづらい場合や、慣れない相続に不安な場合は、

相続に強い専門家に相談することをオススメします。

 

適切な遺言書の作成方法や、今回ご紹介した流れに沿って

書類作成等のサポートをしてくれます。

細かな手間が省かれるので精神的な負担も軽減されます。

 

相続に詳しい人の方が少ないですから、相談は恥ずかしいことではありません。

後回しにしてしまう前に、お近くの事務所にご相談ください。