- 2020.03.15
生前からやっておきたい3つの相続対策
頑張って築き上げてきた財産をできるだけ多く、なるべく円満に
残された人たちへ引き継ぎたいと思うのは当然の心情ですよね。
慌てて対策を練り始めて間に合わない!なんてことが無いように
相続に関する計画は早めに立てて、実行していきましょう。
自分が亡くなってからも残された人たちが
仲良く快適に暮らしていけるように、
今のうちからできることを始めておきましょう。
この記事では生前にやっておきたい相続対策について
ご紹介していきたいと思います。
目次
生前にやっておきたい3つのこと
生前にやっておきたいことは、
1.節税対策
2.納税資金対策
3.相続人同士のトラブルを防ぐ対策
この3つです。
いわゆる、「相続対策」というものです。
節税対策
このあたりは、税理士の領分かなと思いますが、
一般的なことだけ触れておきたいと思います。
① 課税財産の評価額ができるだけ低くなるように工夫しておくこと
余剰現金を不動産などに変えてしまうことなどが、典型的な方法です。
また、特殊な生命保険に加入し、一定期間解約返戻金が抑えられる保険に入ることで、
事実上現金の価値を圧縮するという方式もあります
(税理士や保険業者と事前に相談してください。)。
② 基礎控除がなるべく多く適用されるようにしておくこと
孫などを養子縁組することで、基礎控除枠を増やすといった方法が挙げられます。
(※この点、人数制限や2割加算の問題が生じますので注意が必要です。)
また、同居の親族に対しての優遇もあります。
③ 財産は分割しやすい形態にしておくこと
次のトピックとも関連しますが、株式や動産(宝石や絵画など)を売却し、
現金化してしまうことで、分割しやすくすることができます。
節税対策と合わせて欠かせない納税資金対策
納税資金対策とは、相続税を納めるための資金を
あらかじめ準備しておくことです。
簡単に言えば相続財産の中に、相応の現金・預金を確保しておくことです。
特に注意すべきは、資産が不動産しかないというような場合です。
この場合、相続後(場合によっては相続前)に売却して現金化する必要が出てきます。
相続後に、不動産や土地を納税資金に充てようとする場合は、
そもそも、処分できるかどうか、処分した場合にどの程度の価値があるかを、
事前に調査しておく必要があるといえます。
また、最適とされているのが生命保険の活用です。
被相続人の死亡をもって、積み立てた現金(保険料)が、
保険金として相続人の手に直接わたります。
生命保険をもって、自身の葬儀費用や納税資金に充てるといったことは、
昔から行われてきた、古典的な方式と言えます。
そもそも、保険契約とは何でしょうか。
保険契約は、保険会社と個人が行う民事上の契約です。
よって、
これによって生じる金銭(保険金)の受領は、法律上の相続財産ではありません。
しかし、相続税を算定するうえで「みなし相続財産」として、
相続税の計算の根拠とされてしまいます。
この際、保険については、
「500万円×法定相続人の数」が、非課税枠として別途確保されます。
この枠からはみ出た金額が、相続税の課税額に加算されていきます。
詳細につきましては、税理士等の専門家にご相談いただく必要がございます。
残す財産は分割しやすいようにしておきましょう
相続人同士のトラブルを未然に防ぐためには、
遺言書を作成することが最も有効です。
「相続対策は、遺言作成にある」といっても過言ではないのです。
遺言で、遺言執行者を定めることができます。
遺言執行者は、遺言内容を実現するため、
相続財産の管理や名義変更などを行う権限を持っています。
そのため、遺言執行者を選任すると、財産承継・名義変更が、
スムーズに進むようになります。
また、しっかり遺言書を作成しておくことで
相続人は、遺産分割協議に時間を取られることもなくなります。
相続税の申告期限にも間に合い、各種税控除の恩恵も受けやすくなるといえます。
自分の理想通りに財産を渡すためにも
遺言書の作成は欠かせないものなのです。
ただし、「遺産の1/3は誰々に」というような
漠然とした指定では不十分です。
遺留分を踏まえたうえで、「どの財産を・誰に・どれくらい渡すのか」を
具体的に指定しておくことが肝心です。
相続や税金に関する新情報は欠かさずチェック!対策は元気なうちに
財産の評価額は社会情勢によって変化するものです。
一度確認しただけで安心せずに、定期的に再評価を行いましょう。
また、高齢社会に伴い様々な法改正が行われています。
すでに施行されているものから、今後施行されるものもありますから、
正確な情報を常に収集しておくことが重要です。
相続対策に共通することは、
実行できる元気なうちから対策することです。
しっかり検討して行動できる今のうちから始めましょう。
相続に強い司法書士・税理士・弁護士に相談し、
賢く上手な生前対策を進めていきましょう。
(東京司法書士会所属|登録番号:7237 認定番号:501362)
司法書士。相続案件、会社法務、債務整理、簡裁訴訟代理などを中心とした業務を担当。