- 2020.06.10
財産は何がある?相続対象になる遺産の具体例
ご家族が亡くなられると、残された遺族に
財産が相続されることになります。
相続できる財産にはどのようなものがあるのでしょうか?
しっかり理解しておくことで
財産の調査もスムーズに進められますし、
節税対策にもつながっていきます。
特別難しいことではありませんので
ゆっくりと確実に読み進めていただければと思います。
目次
相続財産とは、相続対象になる財産のこと
相続財産とは読んで字の如し、
相続の対象になる財産のことを言います。
「遺産」と呼ばれることもありますが
このコラムでは、どちらも同じ意味と考えてけっこうです。
被相続人(亡くなった方)の財産はすべて
相続財産となり、相続手続きが必要になる場合があります。
お金に換算できるものは相続税の対象になる
シンプルです。
「お金に換算できるもの」が財産です。
土地や建物、現金や預貯金はもちろん財産ですし、
株券や配当金等など有価証券や借地権、ゴルフ会員権、
著作権や特許権なども相続財産にあたります。
この他にも貴金属・宝石類、書画・骨董品、
車や美術品などもれっきとした財産です。
最近出てきたものであれば
NISA(少額投資非課税制度)や
iDeCo(個人型確定拠出年金)などで運用した資金や、
仮想通貨(暗号通貨)も、当然相続財産です。
家屋や土地などの目に見える財産だけではなく
インターネット上にも財産がある場合があるということです。
繰り返しとなりますが、相続財産の種類については
シンプルに「お金に換算できるものが財産」と
覚えておけば問題ありません。
相続財産とみなされる「みなし相続財産」
民法上、相続財産ではないのですが
相続税法上では相続財産として扱われるもの。
それが、「みなし相続財産」です。
亡くなった方(被相続人)が、生前には持っていなかったものでも、
被相続人の死亡を契機に、相続人に対して交付される財産を、
相続財産とみなして相続税の課税対象とする制度です。
少しややこしいですね。
別のコラムでも書きましたが、みなし相続財産を考えるときに、
お金の流れを意識すると理解しやすいと言えます。
代表的な例が生命保険金と死亡退職金です。
生命保険金や死亡退職金は、
亡くなった方(被相続人)の通帳やお財布に入っていた財産ではなありません。
厳密には、亡くなった方本人から得られるものではなく
保険会社や勤務先から、相続人に対して直接渡されるものです。
ですから、これらは相続財産とは言えません。
しかし、相続税を計算する際の「相続財産」とみなされ、相続財産に算入されてしまいます。
ただし、生命保険金と死亡退職金については
一定額まで非課税枠が設けられています。
残された家族の生活保障のための資金ですから
しっかり配慮されているのです。
生命保険金と死亡退職金の非課税限度枠
500万円×法定相続人の数 = 生命保険金非課税限度額
500万円×法定相続人の数 = 死亡退職金非課税限度額
なお、相続人ではない方が生命保険金、死亡退職金を取得する場合は
非課税規定の適用はありませんのでご注意ください。
死亡退職金は、死亡から3年以内に確定した死亡退職金に限ります。
マイナスの財産も相続対象になる!
忘れてはならないのが、マイナスの財産です。
こちらもしっかり調査し、然るべき対応をしなければなりません。
たとえば借金や住宅ローン、未払いの税金や家賃、医療費、
慰謝料や損害賠償債務なども対象になります(※)。
もしマイナスの財産の方が多くなるようであれば
相続放棄も検討する必要があります。
ただし、相続放棄は、原則として相続発生から3ヶ月以内に
手続きをしなければなりませんので注意しましょう。
※住宅ローンについては、別のコラムをご参照ください。
→「2020.04.26何からやればいいの?相続財産の調査方法」
相続税が発生しない財産もある
中には相続しても相続税の対象にならないものもあります。
たとえば被相続人のために建てられた墓地や霊廟、仏壇、仏具など(※)。
また寄付した財産や公益事業用財産なども非課税となっています。
※純金製や宝石などで装飾された高価な仏具等は、課税対象になる可能性もあるようです。
相続財産に関する情報はしっかり残しておくこと
こうした様々な財産をひとつ残らず探すのは大変です。
自分がどのような財産を持っているのか
あらかじめノートなどにまとめておき、家族にその場所を知らせておくことをオススメします。
(「エンディングノート」などと呼ばれています。)
不動産や土地や預貯金などはある程度調査しやすいのですが
ネット上に保有している口座や金融商品の情報については
相続人が知らなければ気づかれない可能性があります。
利用しているサービスのIDやパスワード等についても
しっかりまとめておく必要があります。
借金や金融商品を隠していても
困るのは残された家族ですから
どこに・何を・いくら持っているのか
書き残しておくようにしましょう。
まとめ
相続財産については、2つの見方があるといえます。
①自分が亡くなった場合、家族に残す相続財産は何か。
→資産承継や相続対策の問題
②家族が亡くなった場合、自分が相続する相続財産は何か。
→遺産分割協議や相続放棄、相続税算定の問題
何が相続財産であるか理解しておくことで
これらの問題に、冷静に対処できるようになるはずです。
とはいえ、一生で何度も経験することではありませんから
判断に迷うことも多いかもしれません。
気になること、悩みごとがあれば、専門家に相談してください。
当事務所は相談無料です。お気軽にお問い合わせください。
(東京司法書士会所属|登録番号:7237 認定番号:501362)
司法書士。相続案件、会社法務、債務整理、簡裁訴訟代理などを中心とした業務を担当。