- 2020.03.18
なぜ相続手続きは面倒くさいのか？
自分で相続手続きをやってみようとして
いろいろネットの記事や書籍を漁ってみたものの、
聞き慣れない用語や難しい言い回しのオンパレード。
「面倒くさい・・・。」と
思わずため息を漏らしてしまう方は多いでしょう。
正直、相続手続きは面倒です。
ご家族が亡くなって慌ただしい時期に、
たくさんの書類と向き合ったり、
残された人たちとお金の話をしたり、
手続き自体も時間がかかります。
なぜ相続手続きは面倒なのか？
そもそもどうして相続税を支払う必要があるのか？
なぜ面倒でも相続手続きをきちんと行った方が良いのか？
放置するとどのようなリスクがあるのか？
この記事で解説していきます。
なぜ相続手続きは面倒なのか？
自分だけで相続手続きを済ませようとするのは大変です。
主な理由として、以下の6点が挙げられます。
- ・民法など、相続に関する法律を知っておく必要がある
- ・亡くなった方の戸籍謄本などの取得が必要である
- ・遺産調査を行う必要がある
- ・遺産分割協議を行う必要がある
- ・名義変更などの相続手続きがある
- ・相続税の申告（相続発生から10ヶ月以内）などの期限がある
これだけのことを専門的な知識のない人が
いきなり完璧に行うのは困難でしょう。
相続は、不動産や株、預貯金などの大きな資産を扱いますから、
それだけ慎重に進めていく必要があるのです。
なぜ相続税を支払わなければいけないのか？
主な理由は、富の再分配と資産格差の固定化防止にあるとされています。
（日本税理士連合会）
高額な資産（遺産）が動く際に、そこに税負担を求めて、徴収し、ひろく再分配します。
相続税には、これを社会保障費等に充てることで、結果的に機会の平等を促し、
流動的で活気のある社会を実現させる機能があると考えられています。
なぜ面倒でもしっかり相続手続きを行うべきなのか？
相続税には格差をなくす目的があると分かったとはいえ、
（できれば相続税は払いたくない・・・。）と思うのが心情です。
まさに、そう思う人こそ
相続手続きをしっかり行うべきです。
その理由は、残された人たちの財産と生活を守ることにあります。
生前贈与などの節税対策を行うことで、
相続税を軽減させることもできるでしょう。
結果、引き継がれる遺産が増え、残された家族が、
安心して暮らしていけるようになるはずです。
また、生前から余裕を持って相続手続きを進めておくことで
相続発生後のトラブルを回避できます。
逆に、しっかりとした生前対策を進めておかなければ
負担がかかるのは残されたご家族です。
亡くなった本人は「後悔すら」できません。
無責任だと思われないようにするためにも
しっかり準備をしておくことが大切です。
相続手続きを放置するとどうなるのか？
相続税の申告や支払い等については義務がありますが、
相続手続き自体は行わなくても罰則はありません。
しかし、放置すると様々な不都合が生じる恐れがあります。
よくあるケースが借金を相続してしまうことです。
相続は不動産などのプラスの財産だけではなく
借金などのマイナスの財産も引き継がれます。
残された遺産よりも借金が上回るような場合、相続する意味もありません。
このような場合は、原則として相続開始の時から3ヶ月以内に
相続放棄手続きを行う必要があります。
（※相続開始から３か月を過ぎても手続きできるケースもあります。
専門家にご相談ください）
亡くなった方の預貯金が引き出せなくなるケースや、
何世代も放置されてしまうと、土地建物の名義が、
事実上変更できなくなるケースもあります。
手続きの放置は、結果として、大きな損失やトラブルを招く恐れがあります。
相続の名義変更を放置している間に、相続人の1人が認知症になったり、
相続人が行方不明になったりするケースが多々あります。
このような場合は、遺産分割協議をする前に、家庭裁判所に対して
後見人や不在者財産管理人などを選任する手続き必要となります。
時間も費用も大幅にかかってしまいます。
面倒でも今のうちからやっておかなければ
後々もっと面倒なことになる可能性があるのです。
まとめ
相続手続きは人生で何度もあることではありません。
相続税の申告期限である10ヶ月は意外と早いものです。
放置したり、先延ばししたりせず、やるべきことを速やかに行いましょう。
余計な手間やミス、トラブルを防ぎたいのでしたら
プロのアドバイスを受けるのが賢明です。
相続に強い司法書士・税理士・弁護士に相談して、
納得の行く形で相続手続きが行えるようにしていきましょう。
（東京司法書士会所属｜登録番号：7237 認定番号：501362）
司法書士。相続案件、会社法務、債務整理、簡裁訴訟代理などを中心とした業務を担当。