相続について
複雑な相続手続き。遺産相続争いを予防するためにも一度ご相談ください。
Q1.先日父が亡くなりました。
父は公正証書遺言を作成していて、そこには「母にすべて相続させる」と書いてありました。
私には他に弟が一人います。私は一切相続できないのでしょうか?
A1.
遺留分があれば相続する権利があります。まず、あなたの相続関係を図にします。
遺留分とは、遺族の生活を最低限保障することを目的に認められている相続分のことでその割合は法定相続分の2分の1(祖父母のみが相続人の場合は3分の1)です。
つまり、あなたの法定相続分はカッコ内の4分の1ですから、4分の1×2分の1=8分の1が遺留分権利となります。
遺留分は遺言で否定することが可能ですので、お父さんが公正証書遺言であなたの遺留分を否定していなければあなたはお母さんに相続財産の8分の1の権利を主張することができます。
Q2.遺言状(遺言書)を作りたいのですが、公正証書で作成したほうがよいのですか?
A2.
遺言状(法律上「遺言書」といいます)は、特に公正証書で作成しなければいけないというルールはありませんから、自分で作成してもよいでしょう。これを自筆証書遺言といいます。
ただし、自筆証書遺言はある一定の方式があります。その方式とは次の3点です。
すべてを手書きで書かなければいけませんから、パソコンなどでプリントアウトした遺言書は無効です。
さらに、1つの遺言書を2人で作成した場合は無効になります。
気をつけるべき点は他にもたくさんありますから、費用がかかりますができれば公証役場に行って公正証書で遺言したほうが確実といえるでしょう。
せっかく作成した遺言書が無効になってしまう場合もありますので一度ご相談ください。
Q3.先日父が亡くなりました。相続手続きはどのように進め何をすればよいですか?
A3.
相続が発生した場合考えなければいけないことは、「誰が、いくらを、どのように相続していくか」「どのような手続きが必要か」です。次の点を確認してください。場合によっては調査が必要になります。
まず、遺言書があるかないか。
遺言書があると誰がいくらをどのように相続するか書いてあると思いますから、スムーズにいく場合が多いです。
原則として遺言の内容どおりに相続手続きを進めていくことになります。
次に遺産はいくらか。
遺産の金額で相続税を納付すべきかどうか、遺留分を侵害されている相続人がいるのかどうかがわかります。
最後に誰が相続人か。
相続は原則として3ヶ月以内に放棄することができますから、放棄した相続人がいる場合その者は初めから相続人でなかったことになりますので、法定相続分などに影響を及ぼしていくことになります。
また、もしかしたら隠し子がいて自分の知らない相続人がいる可能性もあります。
相続人を確定させる作業はとても重要です。
このことを踏まえた上で、相続人が遺産について分割の協議をすることになります。
ここでは誰がどのように何を相続するか決め、決まれば遺産分割協議書を作成することになります。
その遺産分割協議書を基に、金融機関・保険会社・不動産があるなら名義の変更・相続税を納めるべき人は納税など、手続きを進めていくことになります。
相続にまつわる手続きを簡単に説明すると、上記のとおりです。ただし、それだけでは対応できない例外的なケースも多々ありますので悩んだらなるべく早く専門家に相談することをお勧めします。
Q4.生命保険は相続財産にならないと聞いたのですが本当ですか?
A4.
原則として生命保険は相続財産になりません。
生命保険は、受取人が特定の者であるとき、相続人となっているときは相続財産になりませんので遺産分割協議の対象にはなりません。したがって、生命保険金の受取人はその全額を相続とは無関係に受取ることができます。
ただし、相続税を計算するときは別問題です。相続税の計算上は、生命保険はみなし相続財産として、課税価格計算の基礎になります。このとき、500万円×法定相続人の数の額が控除できます。
Q5.亡くなった父に借金がありました。支払わなければいけないのですか?
A5.
原則として支払わなければなりません。
借金はマイナスの遺産として相続人に相続されます。そして借金は遺産分割の対象にはなりません。
どういうことかというと、誰がいくら返済するかを相続人たちが勝手に決められないということです。
なぜなら、誰がいくら返済するかを相続人たちが勝手に決められるとすると例えば経済力のない未成年者などに借金を単独相続させた場合など、お金を貸した人が著しく害されるからです。
借金を支払いたくない人は、相続放棄するなどしてその支払いを免除する手続きが必要になってきます。放棄の期間は3ヶ月と短いですから、お早めに一度相談してください。